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天然醸造と速醸の違いタイトル

「味噌は医者いらず」「味噌汁は朝の毒消し」「味噌汁一杯三里の力」。

昔から味噌は健康に良いとされており、現在でも和食の必須アイテムです。

スーパーに行くと、さまざまな種類の味噌が並んでいますね。

ついお手ごろな味噌に手が伸びがちですが、安易な選択には注意が必要です。

 

短期間で大量生産された安価な味噌は、熱を加えて強制的に発酵させます。

そのため、本来、味噌に含まれるはずの良い成分が死滅しやすく、 風味や栄養が十分に残らないのです。

 

今回は、「美味しくて体に良いお味噌とは?」という視点から

「天然醸造」と「速醸製法」のメリット・デメリット、選ぶべき味噌やおすすめの味わい方についてご紹介します。

 

米味噌の製造方法

天然醸造と速醸味噌の違いを知る前に、お味噌の製造工程を見てみましょう。

 

1 生麹の製造過程 米麹を作る
2 大豆を蒸煮する
3 大豆・米麹・塩を混ぜる
4 発酵・熟成
5 完成

※当社、マルマン醸造の製造工程となります

工程1〜3までは人の手で行いますが、4の「発酵・熟成」の工程では、麹菌や酵母や乳酸菌の力を借ります。

微生物の力で大豆や米などのうま味と甘味のあるお味噌になりますが、その年の天候や蔵ぐせが味噌の発酵・熟成度合いに影響するので、長年の経験や職人の勘が必要な工程となります。

 

天然醸造と速醸法の違い

では、今回の記事の本題に移りましょう。

先ほどの表の工程4「発酵・熟成」には、大きく2つの製法があります。

昔ながらの製法「天然醸造法」と、人工的に加温する「速醸法」です。

(速醸法は、温醸法、加温法などともいわれます)

 

「発酵・熟成」は味噌の味を決める大変重要な工程なのですが、残念ながらあまり詳しく知られていません。

「天然醸造法」と「速醸法」。

この2つの製法で作られた味噌は、コク、香り、旨み、栄養の観点から見てもまったく異なる仕上がりになると言えるのです。

 

じっくり仕込んだ「天然醸造」

マルマン醸造の木桶

一般的に、速醸法が2〜3か月と短期間であるのに対して、天然醸造法は蔵により異なりますが1年近くの長い時間をかけて熟成させます。

時間はかかりますが、味噌に本来含まれる酵母や乳酸菌が熱によって死滅することがないため、ツンとした塩辛さがとれて、味噌本来の奥深い香りが生まれます。

要するに、天然醸造は人工的に熱を加えたり冷ましたりせず、微生物の力を借りて自然の温度で作るお味噌、ということですね。

このように、天然醸造法は昔ながらの美味しいお味噌ができるのですが、速醸法に比べると時間がかかり、しかも生産量がわずかなため、近年はどんどん少なくなってきました。

 

人為的に加温する「速醸法」

一方、速醸法は、人工的に熱を加えて麹の働きを活発にして強制的に発酵させ、短期間に味噌を作りあげる方法です。

量産品の多くがこの方法です。

気温の低い季節でも、味噌の熟成を早めて短期間で完成するため、早ければ1カ月、時間をかけても半年ほどで味噌を出荷することができます。

この方法により、本来およそ1年という長期間の熟成が必要とされていた味噌の生産期間は大幅に短縮され、味噌業界に大きな変革をもたらしました。

速醸法で生産された味噌は熱を加えて強制的に発酵させるため、 酵母、乳酸菌など味噌に含まれるはずの良い成分が死滅しやすくなります

また、一定の温度で熟成するため、生成する発酵生産物も単一化しやすくなります。

そのため、 味噌の芳醇な風味と旨味、さらに大切な栄養分が残りにくくなります。

 

天然醸造法と速醸法のメリット・デメリット

天然醸造法と速醸法のメリット・デメリットを簡単に表にまとめました。

 

天然醸造法
メリット 豊富な酵素が反応し、風味や旨味に富んだコク味の強い味噌になる
栄養 発酵食品ならではの豊富な栄養がたっぷり
デメリット 期間 発酵・熟成に長期の日数が必要
スペース 熟成中の味噌桶の広い保管スペースが必要
手間 長期間のため管理が大変

 

速醸法
メリット 期間 短期間で出来上がる
スペース 熟成期間が短いので回転率が良いため狭いスペースで製造可能
手間 蔵内の温度を一定にするため熟成状態が均一
デメリット
風味や旨味が劣りコク味が少ない味噌になりやすい
栄養 酵母や乳酸菌が死滅するので大切な栄養分が残りにくい

 

「天然醸造法」は「速醸法」に比べると、時間も手間もかかるため、生産者としては効率の悪い製法だと思います。

しかし、本来の味噌とは人工的に作るものではなく、天然醸造で自然の力とともに育て上げるものだとの思いから、マルマン醸造では美味しい味噌をつくるため妥協せずに取り組んでいます。

 

速醸法の歴史

古くから日本の味噌製造は伝統的な「天然醸造法」で行われてきましたが、大正から昭和にかけて、速醸法による味噌の製造が大規模かつ効率的に行われるようになりました。

本来、味噌は1年ほど寝かせなければいけないものを2、3か月で出来上がるので、生産量は増大し、生産コストも大きく下げることができ、全国に普及していきました。

戦後の食料不足や日本の人口増加に伴う需要をまかなえたのは、速醸法があってのことだと思います。

 

しかし、速醸法の導入には一定の批判がありました。

伝統的な天然醸造法と比べて、速醸法によって製造される味噌の風味や品質は劣るとの指摘があったのです。

速醸法は依然として大量生産され広く利用されていますが、近年、自然食品への関心が高まる中で、多くの消費者から伝統的な天然醸造法による味噌が再注目されるようになってきました。

 

天然醸造味噌と速醸味噌の見分け方

天然醸造味噌と速醸味噌は、どのように見分けるとよいのでしょうか?

「天然醸造」と表記されているとわかりやすいのですが、原材料にも注目してみましょう。

天然醸造の場合、米味噌なら米・大豆・塩など、比較的シンプルな素材でできています。

 

一方、速醸味噌は、天然醸造のコクや香り、旨みに近づけるために調味料を加えている商品も多数あります。

・かつおエキス、昆布エキス:さまざまな手法でかつおや昆布からうまみを抽出したもの

・アミノ酸:化学的に合成された「グルタミン酸ナトリウム」のことで、うまみ成分

これらの名前はなんとなく見たことがあるのではないでしょうか?

本来、味噌は発酵食品として非常に体によくうまみたっぷりの食品なので、自然の力ならではの風味で味わっていただけますと幸いです。

 

天然醸造味噌の楽しみ方

じっくりと自然の力により醸し出された濃厚な旨味と風味が特徴の天然醸造味噌。

お味噌汁にはもちろんのこと、料理の隠し味としてもおすすめです。

また、そのままでも味わい深い味噌なので、とんかつやこんにゃく、キュウリに添えても合いますよ。

  

 

北関東の郷土料理である「生味噌おにぎり」や西日本でメジャーな「味噌の焼きおにぎり」も美味です。

生味噌おにぎりの作り方

1 ご飯を用意する(できれば炊きたて)

2 ご飯をおにぎりにして、お味噌をぬる

3 出来上がり

 

味噌の焼きおにぎり

「味噌の焼きおにぎり」は、「生味噌おにぎり」をトースターで焼くだけです。

香ばしさが加わり、お味噌の風味を存分に楽しむことができます。

味噌は塩より塩分濃度が低いので、たっぷり使ってください。

大葉やごま、海苔を添えてもいいですね。

お子様のおやつには、砂糖と醤油を少々加えて甘みのある仕上がりにしても喜びますよ。

 

おわりに

毎日のように日本の食卓に並ぶ味噌料理。

特に、お味噌汁は冷めたときに、天然醸造とそうでないものの味わいの差がはっきりとわかります。

毎日のように口にするものなので、味噌本来の風味や発酵食品ならではの豊富な栄養がたっぷりと詰まった味噌を選んではいかがでしょうか。

おいしくて健康に良いお味噌を選ぶ際に、この記事が皆様のお役に立てれば嬉しいです。

マルマン醸造 常盤 慎太郎

マルマン醸造の「ふるどの天然醸造みそ」

厳選された国産大豆・国産生米麹、瀬戸内海の海水塩・阿武隈山系から湧き上がる湧き水を使用した、天然醸造みそ。

じっくり時間をかけて自然の温度と麹の力だけで熟成された、深みがあり塩角が取れまろやかな味わいが特長です。

どこか懐かしい、幸福感にあふれたお味噌をぜひご賞味下さい。

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